【この差】「着物」と「呉服」の差

専門家:横手里望(清水学園きもの芸術館 講師)

 

【この差】は…

 「衣類」か「絹の生地」か どうか

 

【この差】のポイント!

「着物」は「衣類」のこと。「呉服」は「絹の生地」のこと。

 

どれが「着物」でどれが「呉服」?

4枚の写真は全て「着物」

 

「着物」とは?

「着物」とは、足首まで裾があり、最後に帯を締める衣類のこと

 

「呉服」とは?

「呉服」とは、衣類を指す言葉ではない

弥生時代、衣類に使う素材は「麻」と「綿」しかなく、身分が高い人も低い人も、みな「麻」か「綿」の衣類を着ていた

しかし、弥生時代中期になると、現在の中国(当時の呉)から日本に「絹」の生地が伝わってきた

それまで「麻」と「綿」の生地しか知らなかった日本人は、キメが細かく肌触りの良い「絹」の生地に衝撃を受けた。そして、「絹」の生地は、身分が高い人たちだけしか手に入らない高級生地として扱われるようになった

当時の日本では、生地のことを「服」と書いて「はとり」と呼んでいた

そこで、「呉から来た絹の生地」のことを、「呉から来た絹の服(はとり)」、略して「呉服」と呼ぶようにした

つまり、「呉服」とは、完成された衣類ではなく「絹の生地」のことを指している

実際に広辞苑を見てみると、現在でも「呉服」は「呉の織り方によって織った布。絹の織物。」と明確に書かれている

 

なぜ「呉服」が「着物」と同じ意味だと思われている?

江戸時代に「呉服屋」が誕生したのがきっかけ。江戸時代に誕生した「呉服屋」では、完成した着物は売っておらず、絹の生地である「呉服」だけを売っていた

「呉服屋」では、当時としては画期的なあるサービスを行っていた

当時「着物」は身分の高い人も低い人も生地を買って持って帰り自分で作っていたが、「呉服屋」が仕立て職人を雇い、「呉服」からオーダーメイドで「着物」を作る新たなサービスを始めた

すると、完成した絹の「着物」を着て「呉服屋」から出てくる姿を目の当たりにした庶民は、「麻」や「綿」とは違い光沢のあるキラキラした絹の着物に衝撃を受けた。「呉服」は高価で身分の高い人しか買えず、庶民は「呉服屋」に出入りできなかった。「呉服」を見たことがない庶民は、完成した絹の「着物」を着て「呉服屋」から出てくる姿を見て、「呉服」は「完成した絹の着物」だと勘違いした

こうして、江戸の庶民の勘違いによって、本来「絹の生地」を指す「呉服」という言葉が、「完成した着物」という意味で使われるようになった

 

【minnano編集部】
「呉服」とは絹の布のことだったのですね!

「呉服」も「着物」と同じ意味だと思われるようになったのは、「呉服」を知らない江戸庶民の勘違いからだったとは、面白いですね!

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