【この差】ひき肉は「ミンチ」と揚げたら「メンチカツ」の差

専門家:神永曉(日本国語辞典 元編集長)、木田浩一郎(煉瓦亭 4代目店主)

 

【この差】は…

 「ひき肉」は、聞き間違いの「メンチ」ではなく、正しい発音に近い「ミンチ」が一般化したか どうか

 

【この差】のポイント!
 〇 「メンチカツ」は関東の「豚と牛の合挽き肉」、「ミンチカツ」は関西の「牛100%のひき肉」

 

「ミンチ(ひき肉)」と「メンチカツ」は、どちらの言葉が先に生まれたのか?


一般的に「ミンチ」という言葉と「メンチ」という言葉は、ひき肉を指す言葉の「ミンチ」が先にあって、「メンチ」に変化したと思われがち。

でも実は逆で「メンチカツ」という言葉の方が先に生まれている。

「メンチカツ」は、どのように生まれたのか?


「メンチカツ」は、現在も東京の銀座にある煉瓦亭が日本で最初に作った。煉瓦亭は、創業 明治28年、124年続く、老舗洋食レストラン。

メンチカツはオープンから4年ほど経った明治32年頃に、初代店主の木田元次郎が日本で最初に作った。

明治時代中期、日本には多くの外国人が来るようになった。その頃、木田元次郎は、洋食レストラン煉瓦亭をオープン。

ポークカツレツをヒントに、ポークカツレツのひき肉バージョンとして、現在「メンチカツ」と呼ばれる新たな料理を生み出した。


なぜ「メンチカツ」という料理名にしたのか?


初代店主の木田元次郎は、料理名を決める時に「外国人にも分かりやすいように英語の料理名を付けたい」と考えていた。

そこで「ひき肉って英語で何というのか?」と考え、お店に来ていた外国人に聞いてみた。その際、「Mince meat」と教えてくれたが、木田元次郎は「ミンス」を「メンチ」と聞き間違え、「メンチミート」と思ってしまった。

そして、英語の「メンチミート」は日本人にはわかりにくいと考え、「メンチカツ」と名付けた。


なぜ「ひき肉」を「ミンチ」と呼ぶのか?


まずひき肉を油で揚げたメンチカツが人気となり、全国に広まっていき、当時は「ひき肉=メンチ」だった。

その後、昭和5年(1930年)に、その当時に流行していた言葉や外来語などをまとめた『モダン辞典』という辞書が発行された。

そして、その辞書で「ひき肉」を表す意味として【ミンチ】が採用された。

当時、新聞用語や専門用語の解説にも使われるほど大きな影響力を持っていた。そのため「ひき肉」は、全国的に「メンチ」から「ミンチ」として一気に広まっていった。


なぜ辞書に【ミンチ】が採用されたのか?

これは、煉瓦亭の「メンチカツ」が関西に伝わった時に、関西では「メンチカツ」とは呼ばず、「ミンチカツ」と呼ぶようになったことが背景にある。

なぜ関西では「ミンチカツ」と呼ぶようになったのか?



煉瓦亭の「メンチカツ」が関西に伝わった時、関東の「メンチカツ」は「豚と牛の合挽き肉」を使用していたが、関西では「牛100%のひき肉」を使用していた。そのため、関西の料理人は区別するために料理名を変えようと考えた。

そこで、関西の料理人は、聞き間違えの「メンチ」ではなく、正しい発音に近い「ミンチ」に変えて「ミンチカツ」と名付けた。

そして、「ミンチカツ」と呼ぶようになったことをきっかけに、関西では「ひき肉」を「ミンチ」と呼ぶようになった。

そして『モダン辞典』も、聞き間違えの「メンチ」ではなく、元々の正しい発音に近い「ミンチ」を採用した。

辞書に採用されたことにより、「ひき肉」は「ミンチ」として広まったが、料理名としては、関西を除き「メンチカツ」が残っている。。


 

【minnano編集部】
スタジオでも、神戸出身の浅野ゆう子さんや大阪出身の川田裕美さんは、「ミンチカツ」のほうが馴染みがあると言っていましたが、編集部でも関西出身のメンバーは「ミンチカツ」でした。

私は関東生まれ、関東育ちなので、「メンチカツ」です。今度、関西に出張する際は、是非「ミンチカツ」を食べてみようと思います。

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