専門家:松本仁志(広島大学教育学部 教授)
この差は・・・
INDEX
平成以降、正しい書き順を示した「筆順指導の手びき」が教育現場に徐々に浸透したことにより、「昔」と「今」で書き順が違ってきた
実は正しい書き順は昭和33年から変わっていない。「筆順指導の手びき」の書き順は、より整った文字を書くことを目的としている。
年代によって違う「上」の書き順
30代以上は1画目を横線から。10代・20代は1画目を縦線から書く。
「筆順指導の手びき」とは?
昭和33年に「筆順指導の手びき」という正しい書き順を定めたものが文部省から出版されたが、当時は強制力がなく世の中になかなか浸透しなかった。そのため、現在30代以上の人は昔ながらの書道の書き順で覚えていたり、地域によって教わる書き順が異なったりしていた。
平成に入り、「筆順指導の手びき」の書き順が教育現場に徐々に浸透。
そのため今の10代・20代の人は「筆順指導の手びき」の書き順で漢字を書いている。
「上」の書き順も、「筆順指導の手びき」では1画目を縦線から書くことが正しい書き順と記されている。
「必」の「昔」と「今」の書き順の差
この差は・・・
30代以上は…まず「心」という漢字を書いてから「払い」を書く
20代以下(「筆順指導の手びき」)では…中心から外に順番に書いていく。
まず中心から書き、バランスを整える。
昔の「必」の書き方は「『心』にタスキをかける」と教えられたこともあるが、「筆順指導の手びき」に書かれている書き順は、より整った文字を書くことを目的とした書き順。
実際に昔のように「心」を書いてから「払い」を書くと、本来、文字の中心に来るべき点が横にずれてしまう。
「筆順指導の手びき」に載っている今の書き順のように真ん中の点から書くと、文字の中心が定まり、バランスの整ったきれいな文字が書ける。
「書」の「昔」と「今」の書き順の差
この差は・・・
30代以上は…4画目に長い縦線を書き、その後に横線を2本書く。
20代以下(「筆順指導の手びき」)は…横線を全て先に書いてから縦線を書く。
横線の間隔を均等に書くと字が美しく見える。
「書」という漢字は、横線の間隔が均等な方が美しく見える。整った読みやすい漢字にすることを最優先にすると、横線の間隔をそろえて書くということがとても大事になるため、横線を先に書く。
「馬」の「昔」と「今」の書き順の差
この差は・・・
30代以上は…1画目は横線、2画目は縦線、3画目と4画目に横線を書き、5画目は縦線を書く。
20代以下(「筆順指導の手びき」)は…1画目と3画目が縦線になるように書く。
縦線から書くことで上下の高さと幅を決める。
1画目と3画目の縦線がポイント。「馬」をバランスよく書くためには、縦の部分の上下の高さを定めることがポイント。
最初に縦線を引くことで、文字の高さのバランスを正しくとることができる。さらに3画目を縦線で書くことで、2画目の横線に対して左右均等に幅を作ることができ、より文字を美しく書くことができる。
「博」の「昔」と「今」の書き順の差
この差は・・・
30代以上は…右上の点を最後に書く。
20代以下(「筆順指導の手びき」)は…9画目に右上の点を入れる。
右上のまとまりを完成させて文字全体を美しく見せる。
最後に右上の点を書くと、点を打つ位置が定まりにくい。右上の部分だけで一つのまとまりとして、9画目に点を書くことで完成させる。上の部分のまとまりに対して「寸」を書けば、文字全体が美しく見える。
みなさんは、「昔」と「今」どちらの「書き順」で覚えていましたか?お子様の「書き順」を注意したら、実はそちらの方が正しかった!?なんてこともありそうですね!!
みなさんは、「書き順」の分からない漢字や、「書き順」が難しいと思う漢字はありますか?みなさんのレポ投稿、お待ちしています♪
※「この差って何ですか?(2018年3月27日放送)」をチェック!!
(配信準備中の場合や都合により放送できない放送日があります。ご了承ください。)