【この差】昔と今の「防災常識」の差(地震篇)

専門家:和田隆昌(防災士・災害危機管理アドバイザー)

 

【この差】は…

 〇 地震が起きた直後には、「家の玄関」に避難し、ドアを開けて避難経路を確保すること。
 〇 屋外で地震にあった場合は、「ガソリンスタンド」に避難すること。
 〇 地震の起きた際には、「火の始末」は揺れがおさまってからすること。
 〇 地震の備えとして、「お風呂のお水」ではなく「飲料水や生活用水」を備蓄しておくこと。
 〇 地震の後は、「片付け」の前に「写真撮影」しておくこと。
 〇 火災発生時には、「濡れたハンカチ」ではなく、「ポリ袋」で避難すること。

 

【この差】のポイント!
 「昔の防災常識」から「今の防災常識」へ知識をアップデートするサ!

 

あなたの「防災常識」は間違い?

日本全国で、様々な災害が起きた2018年。一年間を表す漢字として「災」だったのも、みなさんの記憶に新しいのでは。

様々な災害に備えるうえで大事な「防災常識」。実は、昔と今とでは大きく変化している。

例えば、昔から「地震が起きたらまず火の始末」をする、「地震に備えてお風呂に水を溜めておく」などの「防災常識」を聞いたことがあるはず!でも実は「今の防災常識」では間違いだった。

「地震が起きた直後にとるべき行動の差」(その1)

今回の想定は、築10年のマンションで、震度6の地震が発生した場合。

「昔の防災常識」では、地震が起きたら、すぐに安全な公園に避難などを考え、「すぐに外に飛び出る」だが、これは間違い!

「今の防災常識」では、外に出るより、家の中にいる方が安全で「すぐに外に飛び出なくてよい」。

そもそも「すぐに外に飛び出した方が良い」と言われるようになったキッカケは、1978年(昭和53年)に起きた「宮城県沖地震」。多くの建物が倒壊して下敷きになって亡くなった方が多かったため、「すぐに外に逃げた方が良い」という常識が広まった。

しかし「宮城県沖地震」をキッカケに1981年6月以降、「建物の耐震基準が変更」されたため、マンションも一戸建ても頑丈になり、崩れにくくなった(※1981年以降の建物が全て安全という訳ではない)。

そのため、「建物が崩れる危険性」よりも、すぐに外に出てことで、上からガラスや看板などの「落下物により怪我をする危険性」のほうが高いと考えられている。

家のどこが一番安全?

それでは、家の中で一番安全場所とは?

今回の想定は、1LDKの間取り。「リビング」、「ダイニングキッチン」、「寝室」、「お風呂」、「トイレ」、「玄関」、「バルコニー」のうち、どこが一番安全か?

正解は、「玄関」。

「リビング」などの場合、周辺の食器棚や本棚が倒れることで、逃げ場がなくなってしまうことがあるのでオススメできない。

そうなると「トイレ」や「お風呂」でもよさそうだが、最近の「トイレ」や「お風呂」には「柱が使われていない」ことがあり、耐震性が低い場合がある。その場合、ドアがゆがみ閉じ込められる可能性が高いといわれている(※一体型の建物全てが危険という訳ではない)。

そこで、「倒れてくるものがない」、「柱に覆われている」ことから、家の中で比較的頑丈な「玄関」がオススメとなる。

また、「玄関」においても、何かあった時のために、ドアを開けて「逃げ道を確保すること」も忘れずに!

屋外にいる時に地震が起きたら、どこに逃げると良い?

今回は、街でよくみかける「コンビニ」、「駐車場」、「鉄骨のビル」、「ガソリンスタンド」の中で一番オススメな避難場所を考える。

正解は、「ガソリンスタンド」。

「ガソリンスタンド」は、イメージとして、火に弱く、建物が崩れて爆発すると思っている方が多い場所ですが、実は街の中で「最も安全な場所」といえる。

まず「ガソリンスタンド」は、消防法・建築基準法において、普通の建物よりも厳しい基準で建築されており、他の建物よりはるかに頑丈。

実際、1995年(平成7年)の「阪神・淡路大震災」にも「ガソリンスタンド」は崩れずに残っている様子が写真などで記録されている。

さらにガソリンスタンド全体が「防火壁」に覆われているため、炎が外から入ってこないことも、安全な理由のひとつ。

それでは、「ガソリンが爆発する危険はないのか?」という疑問はどうか?「ガソリンスタンド」のガソリンは、コンクリートで、非常に深い位置に埋められているので、爆発することは考えられない。

そして、「ガソリンスタンド」の中には、太陽光発電や貯水設備などを完備した「災害対応型給油所」という場所もある。自宅の近くにあるか、チェックすることをオススメしたい!


「地震が起きた直後にとるべき行動の差」(その2)

「昔の防災常識」では、「地震が起きたら、まず火の始末」と言われてきたが、間違い!

「今の防災常識」では、「火の始末は揺れがおさまってから」。

そもそも「地震が起きたら、まず火の始末」と言われるようになったのは、1923年(大正12年)に起きた「関東大震災」がキッカケ。ちょうどお昼時だったため、台所の火から燃え移った火災が被害を大きくした。

しかし1997年(平成9年)から、都市ガス・プロパンガスなど、全てのガスメーターは、震度5以上の揺れで自動的に消火する仕組みに。

さらに2007年(平成19年)の「新潟県中越沖地震」では、揺れている中、火を消そうとして、ヤカンなどが倒れてしまい、ヤケドなどの怪我をする人が多かったため、今では「火の始末は揺れがおさまってから」となった。

「地震が起きる前の準備の差」

「昔の防災常識」では、断水などに備えて「お風呂の水を溜めておく」と言われてきたが、間違い!

「今の防災常識」では、「お風呂の水を溜めて使うのは危険」。

実は、お風呂に入ったあとの水は1日で様々な菌が繁殖してしまい、それが原因で感染症を引き起こす危険性がある。実際2016年の「熊本地震」の際も、溜めていた水からノロウイルスや食中毒になった可能性があると考えられている。

今回、「家族4人が使った後のお湯」が1日でどれくらい菌が増えるかを検証。「入った直後のお湯」を確認してみると、すでに「レジオネラ菌」という肺炎などの原因になる菌が確認できた。その後、1晩置くと、約100万倍に増えた!

そのため、お風呂の水を溜めておくのではなく、「普段から飲料水や生活用水を備蓄しておくこと」が大事。

「お風呂の水をトイレに流す」は危険!

災害時に備えて、お風呂の水を溜めておいて、「断水した時にトイレの水を流せるから必要」と思っている方も多いが、実はそれが危険!

地震の影響で、トイレの下水管が破裂した場合、お風呂に溜めていた水を流すと、水の逃げ場がなくなり、下水が逆流する恐れがある。そのため、絶対に流さないでほしい。

「地震が起きた後、自宅に戻ったらとるべき行動の差」

今回の想定は、出先で被災したり、避難していて、帰宅した場合にとるべき行動。

「昔の防災常識」では、「地震後、帰宅してすぐに片付け」と言われてきたが、間違い!

「今の防災常識」では、「家に帰ったら、まず写真撮影」。

地震などで被災した際、自宅の被害状況によって、自治体に生活費や修繕費に当てる資金を申し込むことができるが、その申し込みの際に必要なのが「り災証明書」。

この「り災証明書」に「被害の状況が分かる写真を出す」ことで認定されやすく、支給額が増える可能性がある。

写真を撮る際は、「壁に入ったヒビ」、「壊れた窓」、「ドア」は必ず撮影することをオススメ。

「地震後、火災が起きた時にとるべき行動の差」

▶ 詳しい放送内容はこちら!

 

【minnano編集部】
あなたの「防災常識」は、昔の常識でしたか?今の常識でしたか?。

編集部でも、子どもの頃、学校や家族から聞いてきた「昔の常識」がほとんどでした。「お風呂の水」をトイレに流すのは、トイレを選ぶ際にもメーカーの方と話していたので、意外でした。

また屋外で被災した際の「ガソリンスタンド」の安全性も知らなかったので、勉強になりました。さっそく「災害対応型給油所」をみつけました!

みなさんの感想やエピソード、疑問などレポして下さると嬉しいです!みなさんのレポ投稿、お待ちしています♪

 

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※「この差って何ですか?(2019年2月5日放送)」をチェック!!専門家のわかりやすい解説と出演者のトークが楽しめますよ!!
(配信準備中の場合や都合により放送できない放送日があります。ご了承ください。)

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